体が本能的に米を欲したときのはなし

学生時代、ほとんど米を食べなかった。
授業や課題、遊びのため外食や飯抜き、ときにはポテチでエネルギー補給をしてしまうほど不規則で乱れた食生活。その中で米を研いで炊いて悪くなる前に食べきるという一連のルーティーンを回すのは難しかった。

米を美味しいとは思うけど白いご飯が大好き!と豪語するほどでもない。麺やパンと同じように「食べるもの」という認識でしかなかった。
あの時までは。

 

大学2年に1か月フランスに行った。パリとニースに滞在し、美術館や史跡を巡り「アメリ」の聖地を見て回った。それ以外にも10歳の金髪碧眼の少年にナンパされたりホテルでフランス人の幽霊に話しかけられたりと盛りだくさんの旅だった。当時のフランスは今よりもずっと治安も良く、ノートルダム大聖堂も何の変哲もなく建っていた。

とにかく、私の舌はどっぷりとフランスの料理に漬け込まれていた。
するとどうだろう、2週間を過ぎた頃からこれまで食べる習慣の無かった米を食べたくて食べたくて仕方なくなった。炊き立ての白米を食べられるならいくらでも払う!とホテルのベッドの中で薬中のようなことをずっと考えてしまうくらいに米が食べたかった。

 
そんなとき私を助けてくれたのはお湯を入れると出来上がる携帯おにぎりというやつ。
海外旅行の用意のためヨドバシカメラをうろうろしてた時に目に入ってなんともなしにカゴに入れた。海外旅行についての話を聞いていると往々にして「日本食が超食べたくなった」という話題が出るので、半信半疑でトランクの隅に忍ばせていたものだ。


米を炊いて食べる習慣がなくても日本で暮らしていると無意識的かつ定期的に米を摂取している。コンビニおにぎりしかり、ラーメン屋の半ライスしかり、餅などの和菓子しかり。知らず知らずのうちに米が体の中に入ってくる。

それが絶たれると、本能的に米を欲するようになった。
これは幼いころから米を常習してきた体の為せる業か、はたまた日本人のDNAか。

きっとこのピークを過ぎれば、クロワッサンでもクレームブリュレでも満足できるようになるのだろう。でも米絶ち2週間目の禁断症状はとても辛い。携帯おにぎりは長期で海外旅行に行く際は是非とも持って行くべきだ。


現在も推し米について語れるほどのお米オタクではないが、あの日南仏のホテルの一室で食べたおにぎりの美味さは忘れられない。狂いそうになるほど一つのものを欲するという体験もまた、忘れられない思い出となっている。

 

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